人権エッセイ集

2008年度 アイドルトーク 02

3月号「子どもの遊び」

何年か前のことです。小学生だった我が子が「友だちと遊んで来る。」と言って公園へ出かけていきました。しばらくして見に行くと、公園にずらっと並んで座った子どもたちは、それぞれのゲーム機を持ち、それぞれに自分のゲームを楽しんでいました。私は、これが「友だちと遊ぶ」姿なのかと愕然としました。

また最近、低学年の先生から、「子どもたちが『遊び』を知らない」という声が聞かれました。生活科で「昔からの遊びをしよう」という単元があり、こままわしやたこあげ・お手玉・羽子板などを地域の方と楽しむという授業をされていました。それらの遊びを今までにしたことがないというだけではなく、鉄棒で、体が逆さまになることを怖がったり、ドッチボールやおにごっこ・なわとびなども、入学までに体験したことがない子どもたちが増えているというのです。そこで、体育や生活科の時間などを使って遊び方やルールを一つ一つ段階を追ってていねいに説明しながら指導しているということでした。

子どもたちの遊びがこんなにも変わってしまったのはどうしてでしょうか。

今年度の全同教大会の特別分科会で、助産師の内田美智子さんは、「今、『子どもたちが変わった』とか、『おかしい』とかおっしゃるおとながいますが、生まれたてのあの子たちはどこも変わっていません。昨日私が取り上げた赤ちゃんも、30年前に取り上げた赤ちゃんも、どこも変わっていません。もし、子どもたちが『変わった』とすれば、それは子どもたちの瞳に映っているものが変わってきたんです。耳に聞こえるものが変わってきたんです。これはやはり子どもを産んで、育てていく私たちおとなの責任です。」と話されました。

子どもたちが3つの「間」を失ったと言われてずいぶん経ちますが、子どもたちが元気に遊ぶためにはやはり、たっぷりと遊ぶ「時間」と、遊ぶのに安全な「空間」、そしていっしょに遊ぶ「仲間」が必要なのではないのでしょうか。この失った「間」を取り戻すために、私たちおとなにできること、学校・園・所や家庭、地域でできることを考えてみましょう。

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