人権エッセイ集

2001年度 などちゃんのアイドルトーク 01

2月号「午年」

年が明けて早くも一か月が経ちました。今年は午年ということで、年明けの一時、それにちなんだことが様々に語られました。

ところで、午年生まれの現在の人口は、十二支の干支の中で一番少なく947万人だそうです。ちなみに、一番多い干支は、丑年で1144万人です。午年生まれの年齢別の人口は、十二歳が123万人、二十四歳が168万人、三十六歳が133万人、四十八歳が166万人、六十歳が178万人だということです。同じ午年でも、今年満三十六歳になる人の少なさが分かります。

日本には、迷信や言い習わしが数多くあります。今日のように科学が発達した中で、多くの迷信や言い習わしには意味がなく、私たちの意識から遠ざかろうとしています。しかし、今なお生き続けているものもあります。その一つが丙午です。

今から三十六年前、一九六六年がちょうど丙午でした。この年の出生数は、136万人でした。その前後の出生数とは、どれぐらいの違いがあったのでしょう。

前年の一九六五年は182万人、後年の一九六七年が193万人でした。前後の年の平均より、実に27%も少なくなっています。

では、その六十年前の一九〇六年はどうだったのでしょうか。一九〇五年が145万人、一九〇七年が153万人であるのに対し、一九〇六年が139万人だったそうです。前後の年と比べると、約10%の差にとどまっています。

この事実は、私たちに何を教えてくれているのでしょうか。

一九〇六年に比べ、一九六六年の方が、教育や科学、情報も発達しているにもかかわらず、このような結果が出ています。どうやら、「『迷信』は一種の文明病」(板倉聖宣さん・「仮説実験授業」等を主宰)というのは、まんざらまちがいでもないようです。そして、問われているのは、非科学的な迷信に惑わされることと同様に、丙午の迷信にまつわる女性観・人間観ではないかと思います。

ところで、北欧のある国では、すでに同性どうしの結婚が法律で認められていて、その国のある国会議員が同性と結婚したそうです。こうした時代を迎えた今、意識を縛る「迷信」から私たちが解かれるのはいつのことになるのでしょうか。

今年、午年生まれとなる子どもたちの出生数が楽しみです。そして、24年後、二〇二六年の丙午の年はどうなっているでしょうか。

人権教育の成果がここでも試されます。

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