人権エッセイ集

2019年度 あいどるとおく

10月号「オリンピックを機に」

東京オリンピック、パラリンピックを一年後に控え、メディアでは様々な番組が報道されています。今までの大会の一年前にこんなに盛り上がったと思うと、改めて日本での開催であることを感じています。
 

先日「パラリンピック開催まで365日!」の式典が行われたり、ホスト国としてどんな取組をしているかがテレビで紹介されていました。その内容は、選手以外にもたくさん来られるであろう観光客への「おもてなし」についてでした。人種や肌の色も宗教も多様な方々の受け入れにあたり、宿泊施設や旅行会社が、あらゆる人たちの目線に立って、企画を考えていました。ハンディーがある人も一緒に楽しめるカヌー遊びやパラグライダー、観光地巡りなどを企画したり、新たに工事せず、自分たちで考え作ったバリアフリーのトイレやロッカー、階段の多い寺社仏閣にはスロープを手作りされるなど、「だれもが快適に滞在していただけるように」と様々な工夫を凝らしていました。
 

オリンピックはスポーツの祭典であり、平和の祭典でもあります。スポーツを通して多種多様な人が集まり、フェアプレーの精神をもってお互いが理解しあい、平和でよりよい世界の実現に貢献するものでもあります。
 

開催国としてのハード面だけでなくソフト面でも世界から注目されています。例えば、すべてのアスリートたちも安心して利用できるトイレや更衣室をどう設置するのかなど、日本が多様性をどのように捉え、考えていくのかにも関心が集まるところです。
 

アスリートたちの活躍は、安全、安心の環境があって初めて自信をもって、自分らしく力を発揮できるものです。オリンピック、パラリンピックについては様々な考え方がありますが、日本で開催されることが決まっている今、このイベントを通して日本が多様性の受容が実現できるきっかけにし、一つでも多くの人権課題が解決できることを強く望みます。

目次