人権エッセイ集

2003年度 アイドルトーク 02

9月号「カタカナ語」

次の言葉の意味がわかりますか。コンセプト、オンブズマン、プレゼンテーション・・・。正解は順番に「基本概念」「行政監査員」「提示」。

最近カタカナ語が気になります。人権教育にかかわっても、海外の手法などが取り入れられるようになって、アサーティブネス、フォトランゲージ、アクティビティなどの用語が使われるようになりました。国立国語研究所が、外来語(カタカナ語)の「言い換え語」の検討を進め、その結果を提案しました。例えば、エンパワメントは「能力開化」、バリアフリーは「無障壁」、ノーマライゼーションは「等生化」などとなっています。

確かに、必要以上にカタカナ語が使われた会話や文章は意味がとらえにくくて困ることがあります。しかし、一方でこんな指摘をする人もいます。「そもそも日本語は外国の言葉を柔軟に受け入れることで成立した言語である。とりわけ日本生まれの表音文字のカタカナで外来語を表記することで異なる言語圏の接点を明示的に表現できる優れた特性をもっている」のだと。

さて、コンセプトと「基本概念」、エンパワメントと「能力開化」、ノーマライゼーションと「等生化」…。どちらが分かりやすいでしょう?

ところで、以前、学校から保護者向けに出す文書に「振り仮名」をつけるかつけないかを話しあったことがありました。「保護者の中には非識字の方もいるのでつけるべきだ」という意見が優勢でした。しかし、「秋冷の候、保護者の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます」のような文に振り仮名をつける意味がどれほどあるのかということ、言葉そのものが難しいため、例え振り仮名があって読むことができても意味は伝わらないという意見がありました。

カタカナ語か漢字による言い換え語かの議論も結局、誰に何を伝えたいのかによるのではないでしょうか。話す側、書く側が、聞き手や読み手に対する優しさを持っているかが問われます。コミュニケーションは相手を意識し、尊重することからはじまるのではないでしょうか。(ちなみにコミュニケーションは「人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと」)

もう一つ、「コロニー」という言葉を聞いたことがありますか。群馬県にある国立コロニー「のぞみの園」は重い知的障害」を持つ人たちの大規模入所施設です。約30年前に開設され、全国から数百人がここで暮らしてきましたが、国の政策転換により「’07年度までに3~4割の人が施設を出て周辺地域や出身地のグループホームなどで暮らせるように」することをめざすこととなったと、8月18日付け朝日新聞社説は、「隔離の時代は終わった コロニー縮小」という見出しをつけて報じました。

英語ではcolonyと書きます。辞書で引くとその意味は、「①植民地(集合的)) 植民(団)②(同一職業・宗教・人種などの)集団(居住地)、③(罪人などの)隔離区域」となっています。

使い方とともに、元の意味を知ることも大切!?

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